
1969年ロンドン初版の名著が、97年改訂版にもとづく増補改訳で甦る。ブルースの来歴のみならず、アメリカ社会の激動の近現代史をも描く。人種隔離の19世紀に生い立ち、平等への要求の盛り上がる20世紀を背景に紡がれる、黒人音楽の物語。500点超の貴重写真・図版収録。翻訳は文明評論家・増田悦佐(=米口胡)氏、解説はPヴァイン・レコード創業者の日暮泰文氏と、こよなき布陣でおくる決定版。
[目次]
序
長く暑い夏の日
コトンフィールド・ハラー
泥んこ道を行けば
フロッギーボトムからバックヘッドまで
ベッドの張り板もなにもかも
ラビット・フットとトビー・タイム
ストラティン・ザット・シング
ウォーキング・ザ・ベイシズ
どこに行っても苦しい時代
シカゴ・ブレークダウン
ミシシッピにもどると
トラヴェリン・メン――旅芸人たち
スト破りナンバー・ワン
キング・ビスケットの時間
ブルースと悩み
ミュージック・イグザンプル(譜例)
定期刊行物、単行本、ディスコグラフィー
解説 日暮泰文
索引
仕様:A4変型判/上製/208ページ
発刊:2020年12月
発行:土曜社
[プロフィール]
ポール・オリヴァー
ブルース研究者、建築史家。1927年、英国ノッティンガムに生まれる。青年期からブルースの音源・書物の蒐集を開始し、51年に最初の署名記事を発表。以来『Blues Fell This Morning』(60年)『ブルースと話し込む』(65年)『Screening the Blues』(68年)『ブルースの歴史』(69年)『Blues Off the Records』(84年)などの著作を発表し、世界のブルース研究を牽引する。アフリカ系アメリカ音楽の起源と発展をめぐるインタヴュー、現地調査、蒐集資料などは英国グロスターシャー大学が《ポール・オリヴァー・コレクション》として保管する。なお、97年には『Encyclopedia of Vernacular Architecture of the World』全三巻を発表するなど建築史への貢献も多大。